土壌よりペクチン酸リアーゼ生産菌を単離し,16S rDNA分析により Streptomyces thermocarboxydus と同定した.本菌の培養濾液からペクチン酸リアーゼをSDS-PAGE的に単一に精製した.本酵素の分子質量はESI-MSで23,897 Daと測定され,本酵素が低分子量タイプのペクチン酸リアーゼであることを示した.N-末端22アミノ酸残基の配列分析は,本酵素がポリサッカライドリアーゼのFamily 3に分類できることを示唆した.本酵素はペクチン酸の初期反応生成物の解析からエンド型と判定された.本酵素の最適pHは9.0,熱安定性は50℃までで,pH安定性は6-10の範囲であった.本酵素は高メトキシルペクチンにはほとんど作用しないが,ペクチンにはペクチン酸よりよく作用した.これらの基質に対する最適Ca2+濃度は0.6 m M であった.作用特性は重合度の高い基質を好み,重合度8までは重合度が大きいものほどよく作用し,トリGalUAにはわずかしか作用できなかった.