8種類のドングリ種子; クヌギ( Quercus acutissima Carruth),コナラ( Q. serrata Thunb),ナラガシワ( Q. aliena Blume),シラカシ( Q. myrsinaefolia Blume),マテバシイ( Lithocarpus edulis Nakai),ツブラジイ( Shiia cuspidata Makino),アラカシ( Q. glauca Thunb)およびスタジイ( Shiia Sieboldii Makino, Castanopsis cuspidata Schottky var. Sieboldii Nakai)から澱粉を調製し,構造とDSCあるいはRVAによる熱的性質を調べた.ドングリ澱粉の粒径,アミロース含量(26-28%),アミロペクチンの鎖長分布はいずれも比較的トウモロコシ澱粉に近かった.スタジイ,ツブラジイの澱粉のHPAEC-PADで求めたアミロペクチンの鎖長分布は重合度9-17付近の含量がトウモロコシ澱粉と比較して少なく,他のドングリ澱粉と比較しても低い値を示した.ドングリ澱粉の糊化温度は種類により異なり,アラカシ,ツブラジイは低く(ジャガイモ澱粉に近い),クヌギは高かった(サツマイモ澱粉に近い).糊化熱量はコメやトウモロコシ澱粉よりもジャガイモ,サツマイモ澱粉に近かった.RVAによるドングリ澱粉のピーク粘度はコメ,トウモロコシ澱粉より高く,サツマイモやクワイ澱粉に近い性質を示した.