国内産( Satoimo ),外国産(インドネシアの Java , Celebes ,中国の Uhan )の4種のサトイモ澱粉の特性について調べた.また, Java 澱粉には熱処理と酸処理を行い,澱粉の熱特性に及ぼす影響についても検討した. Java 澱粉の粒径分布範囲は3-17 μmとなり最多粒は9-13 μmで50%の分布率であった.またSEM観察の結果, Java , Celebes , Uhan および Satoimo 澱粉の粒径は,それぞれ,3.0-13.0,1.0-4.8,1.5-5.8および0.5-3.4 μmであった. Java 澱粉の形状はほぼ球形であったが,一部凹凸のある表面も観察され,他の澱粉試料よりも大きかった.また,青価によるアミロース含量は20.5%であり,アミロースとアミロペクチンの重合度はそれぞれ,880と2920,また,その平均鎖長はそれぞれ17と19,X線結晶図形はA型であった.澱粉の糊化温度は, Satoimo 澱粉は他の澱粉よりも高温かつ低熱量で, Celebes および Uhan 澱粉は Java 粉より低温で糊化する傾向を示した.一方,50℃で熱処理を行った Java 澱粉の糊化熱量は全ての澱粉試料の中で最も高い値を示した.しかしながら,酸処理を行った Java 澱粉のDSCとSEMによる物性結果は,未処理の Java 澱粉の場合とほぼ同様であり,両者に顕著な差はみられなかった.