Serratia marcescens 由来ファミリー18キチナーゼA(ChiA)の反応機構を検証するために,(GlcNAc)2-UMBの還元末端側の N -アセチル基を除去したGlcNAc-GlcN-UMB,キチン脱アセチル化酵素を用いて(GlcNAc)2-UMBおよびGlcNAc-GlcN-UMBの非還元末端側を脱アセチル化したGlcN-GlcNAc-UMBと(GlcN)2-UMBを合成した.上記ヘテロオリゴ糖基質に対するChiAの反応性をUMBの遊離速度から比較すると,完全脱アセチル化した (GlcN) 2-UMBは全く反応性がみられなかった.(GlcN)2-UMB以外の上記化合物に対するChiAの k cat値を比較すると,非還元末端側が脱アセチル化されたGlcN-GlcNAc-UMBは(GlcNAc)2-UMBとほぼ同様の値を示したが,還元末端側の N -アセチル基が置換されたGlcNAc-GlcN-UMBは(GlcNAc)2-UMBの k cat値と比較して著しい減少がみられた.以上の速度論的解析の結果から,ChiAによるキチン加水分解反応には N -アセチル基が関与していることが示唆された.