相模湾の深度1174mの底泥サンプルから分離した海洋微生物JAMB-A3株由来の新規β-アガラーゼ遺伝子を単離し,その配列を解析した.本酵素遺伝子は602アミノ酸(65,017 Da)のタンパクをコードしており(Fig. 1),推定アミノ酸配列は既知のアガラーゼ(glycoside hydrolase family 16)と34-55%の相同性を示した.またC末端領域にはタンデムに並んだcarbohydrate-binding module様の配列を有していた.枯草菌を宿主として組換え酵素を培地中に大量分泌生産させ,比活性528 U/mgの精製酵素を得た(Table 1).本酵素の最適pHは7,最適温度は54°Cであり,50°Cにおける半減期は8.7 hであった(Fig. 3).本酵素は高濃度のEDTA,Na+,K+,Mg2+,Ca2+や界面活性剤共存下でも安定であった.また本酵素は N -Bromosuc-cinimide処理によって失活するが,アガロース由来のオリゴ糖を共存させると,保護効果が認められた(Fig. 4).このことから本酵素の触媒作用にTrp残基が関与していることが示唆された.本酵素はネオアガロテトラオースを主生成物とするβ-アガラーゼであった(Fig. 5).