セルロース生産菌である酢酸菌は,菌体外にエンド-β-1,4-グルカナーゼを分泌する.またゲンチオビオースやセロビオースなどの糖を培地中に加えると形態が変化し,さらにそのときの菌体外酵素エンド-β-1,4-グルカナーゼ活性も高くなることがわかった.そこで,このエンド-β-1,4-グルカナーゼの性質を調べた.還元糖の生産で実験を行ったところ,CMCやヒドロキシエチルセルロースなどの可溶性の糖は加水分解されたが,BCやアビセルなどの不溶性の糖では加水分解が起こらなかった(Table 1).これらの特徴は,真菌類由来の典型的なエンドグルカナーゼ(En-1)とは,明らかに異なる.さらに,HPLCを用いて加水分解物をみた.その結果,真菌類由来の酵素では,基質CMCを短時間で一気にオリゴ糖まで分解するが,この酵素では,長時間に渡り比較的大きなポリマー単位で分解していることがわかった(Fig. 1).またこの酵素は,セロヘキサオースをセロビオース,セロトリオース,セロテトラオースに分解した(Fig. 3 (A)).ところが,バクテリアセルロース存在中でセロヘキサオースを同様に反応させてみたところ,いったん生産されたオリゴ糖が反応時間とともに消えた(Fig. 3 (B)).以上から,この菌体外酵素は,反転型であるファミリー8に属すると報告されているが,糖転移能力も持っている可能性が示唆された.