大麦幼植物およびタケノコ細胞壁からキシログルカン多糖を分離した.これに,精製キシログルカナーゼ(Xg-ase)を作用させ,HPLCにより重合度4-9のキシログルカンオリゴ糖画分を得た.各キシログルカンオリゴ糖画分は,それぞれ,β- D -ガラクトシダーゼ(β- D -galase),β- D -グルコシダーゼ(β- D -glcase),精製イソプリメベロース生成酵素 (IPase) および精製キシログルカンオリゴ糖分解酵素 (Oxg-RCBH) による加水分解を行い,生成物をMALDI-TOF-MS法にて解析した.大麦のキシログルカンを構成している主要オリゴ糖単位として,四糖 (XX),五糖 (XXG),六糖 (XXGG),七糖 (XXGGG,LXGG),八糖 (XLGGG, LXGGG, XXGGGG, GXXGGG),および九糖 (XLGGGG, LXGGGG, GXLGGG, GLXGGG, XXGGGGG) の存在が確認された.[XX等はFryらによるキシログルカンオリゴ糖の表示法で主鎖の各(1→4)-β結合のグルコース残基の分岐様式により一文字コードで示される.G=β- D -Glc;X=α- D -Xyl-(1→6)-β- D -Glc;L=β- D -Gal-(1→2)-α- D -Xyl-(1→6)-β- D -Glc].また,タケノコの場合も大麦と類似した構造単位が確認された.これらの結果より,イネ科植物の大麦およびタケノコのキシログルカンには側鎖をもつ構造単位の間に,セロビオース (GG) からセロペンタオース (GGGGG) に相当する配列の存在が明らかとなった.