海産軟体動物 Patinopecten yessoensis (ホタテ貝) の中腸腺抽出液よりカルボキシメチルセルロース分解酵素 (CMCase) を疎水性カラムクロマトグラフィーおよび2回のゲルろ過により均一に精製した. 本酵素はCMCに弱酸性領域で作用し, pH6.0, 35℃で最大活性を示した. 酵素は単量体として存在し, SDS-PAGEにより分子量43Kと示された. 結晶セルロースに対する吸着性タンパク質を調べた実験で, 中腸腺抽出液中に約94K, 66K, および43Kの3種類のセルロース結合性タンパク質の存在が示されたことから, 43K-CMCaseはそのうちの一つである可能性が示唆された. 本酵素は1mM EDTAを含む緩衝液中で透析すると失活し, カルシウムイオンやマグネシウムイオンの添加により活性が回復した. 基質特異性としては p -ニトロフェニルβグルコシド, ラミナリン, キシランに作用せず, また, 結晶性セルロース, セロ三糖からセロ五糖までのセロオリゴ糖にも作用しなかった. これらの結果から, Patinopecten 43 K-CMCaseは1,4-β-エンドグルカナーゼであると考えられた.