過去20年間に, 高等植物におけるフルクトオリゴ糖 (FOS) に関する研究は化学的, 生物化学的および酵素化学的に大いに発展した. しかし, フルクタンの科学が急速に進歩したのにも拘わらずフルクタン代謝のメカニズムは十分に理解されていない. たまねぎの大きさや収量は品種によってまちまちで, 乾物量やフルクトオリゴ糖含量がそれらに影響しさらに保存性にも影響を及ぼしている. たまねぎの生育中と貯蔵中におけるFOSの合成および分解のメカニズムに関する知見は非常に興味深い. タマネギ鱗茎の貯蔵炭水化物であるFOSは発芽中に重要な役割を果たしており, 鱗茎の生長, 生体防御, 貯蔵の際にも生理学的に関わっている. ここではたまねぎ鱗茎におけるFOSの代謝を理解するために最近の情報に基づき解説した. 鱗茎収穫前と収穫後におけるFOSやその合成・分解に関わる酵素活性が鱗茎の品質や長期保存性と関係していること, そしてFOS関連糖が休眠打破の引き金となっていること, などのメカニズムについて, 明解に説明するのには限度があるが, 概説する.