アミロペクチン分子中に存在する超長鎖 (LC) 画分の構造を明らかにすることを目的として, コメ, トウモロコシ, コムギ, ソバ, ダッタンソバ, サツマイモのアミロペクチンをイソアミラーゼで枝切りし, ブタノール複合体の沈澱 (LCppt) を単離して, その構造を調べた. 2-アミノピリジンを用いた蛍光標識/HPSEC法により, 調製したLCpptはアミロペクチン単位鎖長分布のLC画分に相当することが確かめられた (Fig. 2). LCpptの蛍光標識/HPSEC法により調べた数平均重合度は330から490 (Table 3), 平均鎖数 (NC) は1.2から1.4 (Table 2) であったことから, LCの構造はその植物種起源の違いによらず非常に良く類似すると同時に, アミロースとは明確に異なることがわかった. LCpptの重合度分布も植物種間でよく類似し, アミロースとは異なっていたが, アミロース程度の重合度をもつものが重量では半分程度を占めていた (Fig. 2, 3). NCの値が1以上であることと, LCpptは5.1から9.4モル%の分岐分子を含んでいたことより, LCに結合する側鎖はイソアミラーゼで完全には枝切りされないと考えられた (Table 4). また, これらの分岐分子は1分子あたりいずれも (IR36を除く) 約5本の鎖で構成されていた (Table 4). イソアミラーゼで枝切りされない原因は不明であるが, アミロースにも同様のイソアミラーゼに抵抗性を示すα-1,6結合の存在が示唆されており, この点でLCpptとアミロースの分岐構造上の共通性が考えられた.