1,5-アンヒドロ-D-フルクトース水溶液を加熱するとラジカル消去活性が高まった. それは1,5-アンヒドロ-D-フルクトース水溶液を加熱することで1,5-アンヒドロ-D-フルクトースの500倍のラジカル消去活性を示す物質, アスコピロンPが誘導されることに起因していた. このことから, 食品保存における1,5-アンヒドロ-D-フルクトースの抗酸化機構の一つにこのアスコピロンPへの変換があると推測された. アスコピロンPの効率的な生産方法を検討した結果, 1,5-アンヒドロ-D-フルクトースを155℃で5分間加熱すると, その50%がアスコピロンPに変換し, 加熱により短時間で変換できることが明らかとなった. さらに食品中のアスコピロンPの生成について調べた結果, 1,5-アンヒドロ-D-フルクトースを含む食品, トリュフやオゴノリをレトルト調理することでアスコピロンPは生成した. さらにAPPの別な合成経路として, グルカンを含む食品を「焼く」, 「揚げる」の調理をすることで, グルカンが熱分解し1g中に20μg程度のアスコピロンPが生成することが明らかとなった.