短時間加熱処理された早炊き米は, 対照米と比較し吸水性が著しく改善され, 50℃の温水に60分間浸漬した後の平衡水分量は蒸煮処理品63.3%, レトルト処理品54.7%, 熱風処理品45.4%, 対照品29.3%の順で, 吸水性の改善が調理時間短縮に寄与していることが示唆された. 結晶性の消失および糊化度の上昇は蒸煮処理品が最も顕著で, 続いてレトルト処理品, 熱風処理品, 対照品の順で, 平衡水分量と澱粉の構造変化の間に相関が認められた. レトルト処理品, 熱風処理品は, 対照品と比較し多加水での炊飯が必要で, 炊飯米の物性は共通して脆く, 硬く, 粘りや付着性が強い傾向にあった. 早炊き米は部分的な加熱と冷却による澱粉の老化および細胞壁構成成分の架橋 (古米化) が進行しており, 古米同様の多加水炊飯が必要で加圧加熱処理を受けたレトルト処理品ではその影響が顕著で, 炊飯に最も多くの加水量が必要であった.