主要フラクトオリゴ糖として知られている1-ケストースおよびニストースの腸内菌叢および腸内と全身免疫反応に及ぼす影響について,それらを個別に投与したマウスにおいて検討した.1-ケストースおよびニストースの投与はいずれも糞便中の Lactobacillus (Lb) 増殖促進作用を示した (Table 1).しかしながら,これらフラクトオリゴ糖の投与はマウス糞便中に存在した2種の Lb. reuteri と Lb. intestinalis のバランスは変化させなかった (Fig. 1). 1-ケストースおよびニストースを投与されたマウス糞便中のIgA量は投与4-7日目にかけて増加し,14日目にはコントロール群と同等のレベルに戻った (Fig. 2). Con A,抗CD3+抗CD28抗体およびLPSによる脾臓リンパ球増殖反応は,どちらのフラクトオリゴ糖の投与によっても減少した (Fig. 3).ニストースの投与は,脾臓リンパ球からのIL-2,IFN-γ,IL-12そしてIL-4産生を1-ケストースよりも強く低下させた (Table 2).これらの結果から1-ケストースおよびニストースは,どちらも腸内細菌および腸内と全身免疫反応に影響を及ぼすが,両者の効果の程度は異なることが示唆された.