日本型およびインド型モチ米アミロペクチンのHPAEC-PAD法によるアミロペクチン鎖長分布を調べ,ラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)による糊化特性,テンシプレッサーによる米飯物性との関係について検討した.インド型モチ米アミロペクチンの鎖長分布は,日本型モチ米アミロペクチンの鎖長分布と異なり,低重合度画分(DP6-12,fa)の短鎖比率が低く,他方,高重合度画分(DP>13,fb1+2+3)の長鎖比率が高かった.インド型モチ米アミロペクチンの糊化特性および米飯物性は,硬質の特性を示した.日本型モチ米アミロペクチン同士でも鎖長分布パターンに差異のあるものが存在した.日本型モチ米アミロペクチンの高重合度画分(DP>37,fb3)とRVAによる糊化特性(最低粘度,最終粘度,セットバック,糊化開始温度)およびfb3とヨウ素吸光度との間には,有意な正の相関がみられた.ヨウ素吸光度と米飯物性(全体の付着量L6)の間には,有意な負の相関がみられた.これらの結果,アミロペクチン分子鎖長の長鎖部分が,デンプンの物理特性を規定している因子の一つである可能性を示した.