エノキタケ栽培後の廃培地からの可溶性の糖質を回収するため,水熱反応および酵素処理を組み合わせた処理について検討した.培地中のヘミセルロースを可溶化させる最適な条件は,190°C,1.8メガパスカルの圧力下での高温高圧水で10分間処理することにより得られることが判明した.この条件下では,キシロースから重合度20以上までの一連のキシロオリゴ糖が可溶化画分中に検出された.しかしながら,190°C以上の温度の上昇に伴って,このキシロオリゴ糖の収率は減少した.190°Cの水熱処理は,酵素消化を促進し水熱処理残渣の約半分がセルラーゼ処理で可溶化した.この値は未処理のものに比較して,約8倍であった.水熱反応と酵素処理の組み合わせにより,培地中の約80%を可溶化することが可能となり,最終的に灰分とリグニン含量を合計した値よりも少ない20%が残渣として残った.