黒糖を活性炭カラムおよびダイヤイオンHP-20カラムで精製した後,エキソ型グルカナーゼである多分岐デキストラン水解酵素で処理した試料について,HPLCで分析した結果,グルコース残基7,8および9個からなる環状イソマルトヘプタオース(CI-7),環状イソマルトオクタオース(CI-8)および環状イソマルトノナオース(CI-9)と同じ保持時間を示すオリゴ糖ピークを検出した.これらのオリゴ糖ピークは,α-1,4-グルコシド結合を加水分解するα-アミラーゼや,α-1,3-グルコシド結合を加水分解するNovozym 234では消失せず,α-1,6-グルコシド結合を加水分解するエンド型デキストラナーゼで消失したことにより,環状イソマルトオリゴ糖であることが示唆された.さらに,質量分析の結果からCI-7,CI-8およびCI-9と同一の分子量であることも確認した.以上の結果から,古くから菓子や甘味料として日常摂取している黒糖の中には,抗う蝕性を示すオリゴ糖として知られる環状イソマルトオリゴ糖の存在するものがあることが推定された.