超好熱始原菌 Thermococcus kodakaraensis KOD1株のDNA Microarray解析の結果,マルトデキストリン代謝条件において特異的に転写量増加を示す機能未知ORF (TK1436) が発見された.TK1436はGlycoside hydrolase, family 57 (GH-57 family) に分類されるタンパク (675aa,78.5kDa) をコードしていた.GH-57 familyは一次構造より七つのサブファミリーに分類されるが,TK1436はGH-57 familyで既知の4種の酵素 (α-Amylase,4-α-Glucanotransferase,Amylopullulanase,α-Galactosidase) とは異なるサブファミリーに属していた.TK1436タンパクの機能解明を行うために,組換えTK1436タンパクの調製を行い,Melibiose,Pullulan,MaltoheptaoseおよびAmyloseを基質として反応を行った.その結果,Amyloseを基質とした場合に,微量ながらもマルトオリゴ糖含量の上昇が観察された.Branching enzyme (BE) は,Amyloseを基質としてGlycogenやAmylopectinの分枝構造を作る酵素であるが,反応副産物として少量のマルトオリゴ糖を生成する.これまでにBEとしては,GH-13 familyに属するタンパクのみが知られていたが,我々はTK1436が新規BEである可能性について検討を行った.先ほどの反応産物を,さらにα-1,6結合の切断を行うIsoamylaseで処理を行った結果,多量のマルトオリゴ糖が遊離した.次に平均分子量3.0×104のAmyloseを基質として,反応産物の分子量を測定した.その結果,生成物の平均分子量は3.0×106~3.4×106であり,基質の100倍以上の高分子であることが判明した.