アスパラガス若茎に,グルコース,フルクトース,シュクロースの他に少量の1-ケストース,ニストースなど短鎖のフルクトオリゴ糖が含まれていることをすでに報告した.本研究ではグリーンアスパラガス若茎を異なった温度条件下で貯蔵したときのそれぞれの糖量および関連合成・分解酵素活性の推移を部位別に調べた.グリーンアスパラガス若茎を,温度4±0.1℃・湿度65±1%,10±0.1℃・55±1%,20℃・50%の各条件で14日間貯蔵した.各条件で保存後,上・中・下部に分けて細切し,エタノール抽出を行い糖含量を定量した.また,関連酵素についても上・中・下部に分け,インベルターゼ活性,1-KHE活性,1-SST活性,1-FFT活性,6G-FFT活性を測定した.グルコースおよびフルクトース含量は,貯蔵中に有意に変化したが,シュクロース含量については変化がみられなかった (Fig. 1A,1B).また,1-ケストースおよびニストースについては,貯蔵期間の後期で増加し,特に20℃で顕著であった (Fig. 2A,2C).インベルターゼ活性については,4℃と10℃で類似し,20℃では貯蔵2日目で増加し,その後減少した (Fig. 3A).また,1-KHE活性はインベルターゼ活性と類似したパターンを示した(Fig. 3B).1-SST活性は,上・中部の貯蔵初期に増加したが,下部では貯蔵中ほとんど変化しなかった (Fig. 4A).1-FFT活性は上部で高く,貯蔵の後期にかけて減少したが,中・下部ではほとんど変化がみられなかった (Fig. 4B).6G-FFT活性の変動パターンは1-FFTと類似していたが6G-FFT活性はより高く,また6G-FFTと1-FFTの比率は温度と無関係であることが確認された.以上のことから,短鎖フルクトオリゴ糖と関連酵素は,アスパラガス若茎において糖濃度が高くなった場合すみやかに低下させ,糖のバランスを調節するための役割を果たしているものと推定される.