土壌より分離した好アルカリ性 Bacillus sp. HM-127株からα-glucosidaseを精製し,その諸性質を解析した.本酵素はSDS-PAGEより分子質量63 kDaと見積もられ,マルトースを基質とした場合の至適pHは6.4, p -nitrophenyl-α-glucopyranoside ( p NPG) を基質とした場合には6.4および8.3の二つの至適pHがみられた(Fig. 1).金属イオン等の影響を調べた結果,Fe2+,Zn2+およびethylenediaminetetraacetic acidによりマルトースおよび p NPG分解活性はともに強く阻害を受けた.しかしながら,phenylmethylsulfonyl fluorideおよびdithiothreitolは,それぞれ p NPGおよびマルトース分解活性をほぼ消失する一方で,マルトースおよび p NPGを基質とした場合はそれぞれ弱い阻害効果を示した.また,スクロースおよびツラノースにより p NPG分解活性は二つの至適のうちpH 8.3においてのみ阻害を受けることがわかった.以上の結果より,本酵素はpH 6.4および8.3において異なるメカニズムにより p NPGおよびマルトースを分解することが示唆された.