大腸菌O157:H7を D -グルコース, D -ガラクトース, D -マンノース, D -キシロース, L -アラビノース, L -ラムノース, L -フコースをそれぞれ単一の炭素源として0.04%含む培地で7日間培養し,菌体生長量および形成されたバイオフィルムの量を測定した.その結果,すべての培地において,培養1日目で菌体量が最大に達した(Fig. 1 (A)).同様に,バイオフィルムの量も培養1日目に最大値を示し,その後,減少した(Fig. 1 (B)).糖類の濃度がバイオフィルム形成に与える影響を調べるため,上記の糖類を単一の炭素源として0.4,0.04,0.004%含む培地をそれぞれ調製し,1日間培養した.その結果,0.4%の D -マンノースおよびL-ラムノースを含む培地において,本菌のバイオフィルム形成能の低下が観察された(Table 1).さらに, D -グルコース, D -ガラクトース, D -キシロース, L -アラビノース, L -フコースを含む培地に D -マンノースおよび L -ラムノースをそれぞれ添加し,大腸菌O157:H7を培養した結果, D -マンノースを添加した培地のみバイオフィルム形成の低下が観察された(Table 2). D -マンノースの添加培地と無添加培地において,菌体生長量に変化は観察されなかったことから, D -マンノースは大腸菌O157:H7のバイオフィルム形成を直接的に阻害すると考えられた.