リンゴ銀葉病菌 ( Stereum purpureum ) の培養濾液から3段階のカラムクロマトグラフィーによりエンドポリガラクツロナーゼ (EndoPG) VIa,VIbを精製した.N末端アミノ酸配列分析をしたところ,両酵素は同じN末端アミノ酸配列を示した.ESI‐MS (electrospray ionization mass spectrometry) で分析したEndoPG VIa,VIbの分子量は,それぞれ36,017 Daと37,266 Daであり,Endo-β- N -acetylglucosaminidaseを用いてN‐結合型糖鎖を取り除くと分子質量がそれぞれ34,987 Daと35,202 Daに減少した.以上の結果から,EndoPG VIaとVIbは,以前報告したEndoPG Ia,Ib,Ic同様ポリペプチド部分が同じで,VIaには1本,VIbには2本のハイマンノースタイプのM5型糖鎖が結合していると考えられる.次にEndoPG VIとIを比較したところ,後者が約70℃まで熱安定であるのに対し,EndoPG VIは55℃と約15℃ほど熱安定性が低いことがわかった.また,円二色性スペクトルの昇温測定から求めたEndoPG Iの融解温度 ( T m) 値が79.5℃であるのに対して,EndoPG VIでは62℃と約17.5℃低かった.一方,ポリガラクツロン酸を基質に用いたときのEndoPG VIa,とVIbの比活性はそれぞれ448,421 U/mgであり,EndoPG Iの450 U/mgとほぼ同じであったが,基質特異性にやや違いがみられた.最後にN末端アミノ酸配列情報を用いてRACE法によりEndoPG IVのcDNAをクローニングしたところ,EndoPG IとEndoPG VI間のアミノ酸配列のホモロジーは72%であった.アミノ酸配列情報と,上で求めた酵素の分子量から,EndoPG IVではEndoPG Iにみられたような44残基におよぶ大きなC末端側の欠失はないと推定された.