エノキタケ Flammulina velutipes NBRC33210を用いて,デンプンを原料としたエタノール発酵を検討した.5%のデンプンと菌糸の混合液を嫌気条件において発酵させた場合には,全くエタノールは生産されなかった.しかしながら,エノキタケを好気的に7日間培養した場合,デンプン分解酵素が誘導され,その後,デンプンを原料として発酵した場合にはエタノールの生産がみられた.デンプンからのエタノール変換率は32.4%であった.発酵する際に市販のデンプン分解酵素を添加した場合,α-アミラーゼは全く添加の効果がなかったが,α-グルコシダーゼ,グルコアミラーゼでは顕著に酵素添加の効果が現れた.0.1 U/mLのグルコアミラーゼを添加した場合,デンプンからのエタノール変換率は72.6%に達した.