サイクロデキストリン(CD)がコエンザイムQ10(CoQ10)の水への溶解性,融解熱,ヒトにおける吸収性に及ぼす影響を調べるため,CoQ10を20-24重量%含むCoQ10-CD複合体粉末を調製した.CoQ10の水溶性は,α-CD,デキストリンである程度の改善がみられた.一方,示差走査熱量計分析では,CoQ10の吸熱ピークがβ-CD,γ-CD,β-Iso®の存在でほぼ消失したことから,β-CD,γ-CD,β-Iso®は,粉末中のCoQ10をほぼ包接した不溶性複合体を形成することが確認された.吸収試験では,健康な成人女性20名を4群に分け,CoQ10原末,CoQ10-β-CD複合体粉末,CoQ10-γ-CD複合体粉末またはCoQ10-β-Iso®複合体粉末のCoQ10として0.30 g相当量が絶食下で単回摂取され,摂取前(0時間)および摂取2,4,6,8,24時間後の血漿中総CoQ10濃度をHPLCで測定した.CoQ10摂取後の血漿中総CoQ10濃度から摂取前の濃度を引いた血漿中外因性総CoQ10濃度を求めて吸収性を評価したとき,CoQ10-β-CD複合体摂取群,CoQ10-γ-CD複合体摂取群,CoQ10-β-Iso®複合体摂取群の摂取0-8時間における血漿中外因性総CoQ10濃度-時間曲線下面積は,CoQ10原末摂取群と比較して有意( p ®がヒトにおけるCoQ10の吸収を促進することが示された.