Streptococcus mutans ATCC 25175由来のエンド型デキストラナーゼ(SmDex)に対し,3種類のω-エポキシアルキルα- D -グルコピラノシド(3′,4′-エポキシブチルα- D -グルコピラノシド(E4G),4′,5′-エポキシペンチルα- D -グルコピラノシド(E5G)および5′,6′-エポキシヘキシルα- D -グルコピラノシド(E6G):アグリコンのアルキル鎖長が異なる)を作用させると,SmDexは擬一次的な活性低下を示した.アルキル鎖長に依存した失活が認められ,失活の度合いはE5G > E6G > E4Gであった.したがってω-エポキシアルキルα- D -グルコピラノシドのグルコース残基とエポキシ基の距離が,SmDexの失活に対し重要であることが判明した.E5Gは可逆的な中間体を形成する失活機構(自殺基質型の失活機構)を与え,不活性化の一次定数( k )と中間体の解離定数( K R )はそれぞれ0.44 min-1および1.45 m M と算出された.SmDexの加水分解反応の生成物であるイソマルトースの存在によりE5Gの失活が防御されたため,E5GはSmDexの触媒部位に結合すると示唆された.本論文は,ω-エポキシアルキルα- D -グルコピラノシドがエンド型デキストラナーゼの自殺基質になることを示す初めての報告である.