サイクロデキストリン合成酵素(CGTase)をクリニカルデキストランに高濃度条件で作用させると,構造の変化したデキストランが得られた.CGTaseはセファデックスG-15ゲルに対し親和性を示し,デキストランに対する加水分解作用は澱粉の場合よりも小さかったが,反応速度定数の測定値に基づいて評価された.生成物をエタノール分画の結果から,CGTaseによるデキストラン分子の再配列が示唆された.デキストランに対するCGTaseの最適反応条件は, pH9.5および50℃であり,これらはいずれも可溶性澱粉を基質とした場合に比べて高かった.また,この反応は界面活性剤(SDS)や受容体分子(α-メチノレグルコシド)の添加により,大きく変化した.反応による還元糖の増加はわずかであったが,生成物のデキストランはもとの基質に比べて,その分子量分布に明確な差異が見られた.すわなち,クリニカルデキスラン(分子量;63,000)よりも高分子量(500,000以上)および低分子量(10,000)の生成物が得られた.以上の結果から,CGTaseがα1,6-グルコシド結'合からなるデキストランに作用することが強く示唆された.