サイクロデキストリン合成酵素(CGTase)の可溶性澱粉,プルランへの作用を調べた.CGTaseは澱粉から著量のサイクロデキストリンを生成すると同時'に,分子量の異なるグルカンフラグメントを経時的に生成した.高濃度のCGTaseとプルランを反応させたところ,プルランPF30(Mw 283,000)では,分子量分布が大きく変化することを見出した.この結果はCGTaseの分子再配列反応が主に発現されたことを示唆している.生成物プルランは,もとの基質と比べて,蛍光試薬との反応性やイソアミラーゼ,グルコアミラーゼによる加水分解パターンなどが異なっていた.生成物の構造を2次元NMRやメチル化法で分析した結果,CGTaseはプルランのマルトトリオース単位の非還元性末端位にα-1,4結合を介して,切り出されたフラグメントを導入し,直鎖状のα-1,4結合の主鎖にα-1,6結合の分岐構造ができることが明らかとなった.