調理後特徴的な性質を示す新形質サツマイモ塊根(低アミロース品種九系89376-12,高甘味品種九州127号,沖縄品種宮農36号)の澱粉の物理化学的性質を調べた.九系89376-12の澱粉はアミロース含量を除く他の構造特性はコガネセンガンのものと類似しており,両澱粉における糊化特性の相違はアミロース含量の差によるものと思われた.一方,九州127号と宮農36号は低い糊化温度と冷却時における高い粘度,高いグルコアミラーゼ消化性を示した.宮農36号は,見かけのアミロース含量と枝切り処理後の鎖長分布において低アミロース性は認められなかったが,そのアミロペクチンに多量の長鎖が存在することが判明し,したがってアミロース成分は少ないことがわかった.さらに,高性能陰イオン交換クロマトグラフィーにより,九州127号と宮農36号は重合度6-11の短鎖が多いことが明らかとなった.このように調理後特徴的な性質を示す塊根は,その澱粉の物理化学的性質に固有特性が認められた.