タカアミラーゼA(TAA)を澱粉,デキストランなどの各種ジアルデヒド誘導体で架橋状に修飾した.ジアルデヒドー澱粉では修飾により,TAAの遊離のアミノ基量と酵素活性が速やかに,かつ,顕著に減少したが,ジアルデヒドーデキストランでは同量程度のアミノ基が修飾されてもTAAの失活は小さかった.SDSゲル電気泳動によりTAA-ジアルデヒドーデキストラン複合体の分子量の増加が示された.修飾したTAAの各種基質に対する作用を比較したところ,TAAの修飾の度合いが高まるほどマルトース,フェニルα-グルコシドへの作用性が増加することがわかった.これとは逆に,マルトトリオース,マルトテトラオース,γ-サイクロデキストリンに対する作用は修飾に伴って減少した.この場合にも,ジアルデヒドーデキストランで修飾したTAAの方がジアルデヒド澱粉で修飾した酵素よりも,これらのオリゴ糖に対して高い活性を示した.さらに,蛍光試薬のオルトフタルアルデヒドによる失活は,TAAをあらかじめジアルデヒドーデキストランで修飾しておくことで減衰されたことから,TAAとジアルデヒド誘導体との反応には酵素活性に致死的な影響を与えにくいアミノ基が関与していることが示唆された.