酢酸菌Acetobacter capsulaturn ATCC11894株は,グルコースと微量のデキストリンを炭素源として液体培養すると,菌体外にグルコシル基転移酵素デキストリンデキストラナーゼ(EC2.4.1.2)を産生することが知られている.当該酵素は,各種クロマトグラフィーの操作を経ることなく,高速冷却遠心分離(4℃,20,000×9,20分間)のみにて,簡易かつ高純度に精製された.精製酵素の分子量はSDS-PAGE法から,約152kDaと推定された.また,当該酵素は,pH5.2および38℃ において最大活性を示した.精製酵素を各種pHで4℃,24時間処理すると,pH4.1-5.4の範囲で100%の残存活性が認められた.本酵素活性は,1mMのHg2+,Pb2+あるいはKMnO4により完全に阻害された.当該酵素により,マルース以外の一連のマルトオリゴ糖から生成されるα-1,6-グルカンは,1H-NMR分析の結果から,わずかにα-1,4-グルコシド結合の分枝を有することが示唆された.生成α-1,6-グルカンの分子量は,およそ1270kDaと推定された.