Acetobacter capsulatum ATCC 11894株の産生する菌体外デキストリンデキストラナーゼ(DDase:EC2.4.1.2)を用い,各種マルトデキストリンを基質とした場合の,デキストラン合成反応を速度論的に解析した.各種マルトデキストリンに対するDDaseの反応速度論量(Km,Vmax,Ki,Ks)が測定された.各種マルトオリゴ糖のグルコース残基のデキストランへの変換効率は,基質重合度の上昇とともに増加し,短鎖アミロースからデキストランへの変換率は約74%であった.各種マルトオリゴ糖を基質とした場合,デキストラン合成反応はマルトースにより顕著な阻害を受けた.その阻害形式は混合型を示し,マルトース分子はグルコシル基受容体にもなりうることが判明した.そこで,グルコシル基受容体にマルトースを用い,その際生成される各種オリゴ糖を単離・精製し,それらの化学構造を1H一および13C-NMRにより解析した.一連の精製グルコオリゴ糖の化学構造は,それぞれ4-O-α-isomaltosyl-D-glucose, 4-O-α -isomaltotriosyl-D-glu-cose,4-O-α-isomaltotetraosyl-D-glucose,4-O-α-isomalto-pentaosyl-D-glucoseおよび4-O-α-isomaltohexaosyl-D-glucoseと同定された.