42 -O-β-D-galactosylmaltose(1)にオリゴ糖酸化酵素(OSOD)を作用させると,哺乳類α-アミラーゼの基質アナログ阻害剤である42 -O-βD-galactosylmaltobi-onolactone(2)に容易に変換できた.すなわち,化合物1の還元末端グルコース残基のアノマー水酸基をOSODを用いて酸化し,生成物をカチオン交換樹脂およびトヨパールHW-40Sゲル濾過カラムによって順次精製が可能であった.本反応を円滑に行うためには全反応期間中pHを維持し,また酸素を供給する必要があった.そのためにはジャーファメンターの導入が有効であり,化合物2の大量調製を可能にした.調製した2のNMRによる構造解析結果および哺乳類α-アミラーゼに対する阻害活性を検討した結果,酵素的酸化法によって調製した2は化学的酸化法によって調製したものと同一物質であることを確認した.この結果,哺乳類α-アミラーゼ基質アナログ阻害剤2の工業レベルでの調製が可能になった.