糸状菌Acremonium cellulolyticusの市販酵素製剤から,エンドセルラーゼの二成分を各種カラムクロマトグラフィーを組み合わせ,高純度に精製し,それぞれをセルラーゼIII-AおよびIII-Bと呼称した.精製酵素は,いずれも電気泳動的に単一なタンパク質であり,両者はβ-グルコシダーゼ活性を全く示さない標品であった.精製セルラーゼIII-AおよびIII.Bの分子量(SDS-PAGE法)および等電点は,それぞれ58kDa,4.6および49kDa,4.2であった.両酵素はいずれも14-16%の糖含量(グルコース換算)を示した.また,これら2種の精製酵素のN末端側第2一第20番目までのアミノ酸配列をエドマン分解法により決定した.セルラーゼIII-AおよびIII-Bの反応至適pHおよび温度は,それぞれ5.5,55。Cおよび5.5,65。Cであり,セルラーゼIII-AおよIII-BのpHおよび温度に対する安定領域はそれぞれpH4.2-8.0,55。C 以下およびpH3.3-7.8,60。C 以下であった.また,セルラーゼIII-AおよびIII-Bは,70。C,10分間の加熱処理後,それぞれ25および88%の残存CMC糖化活性を示した.セルラーゼIII-BによるCMCの加水分解は,セルラーゼIII-Aに比し,よりエンド水解度の高いものであった.両精製酵素を種々のセルロース性基質に作用させると,いずれの基質からも多量のセロビオースおよび少量のグルコースが最終生成糖として得られた.