1)LGLの澱粉質ゲルに対する硬化抑制機作解明の一環として,LGLの化学構造上の特徴から推測される本物質の高疎水性を,新たに設定した「単糖類の疎水度評価法(簡易法)」により裏付けることができた. 2)簡易法は,「HPLC(分配モード)分析による単糖類のリテンションタイムが,従来の標準的方法による疎水度と対応性を有すること」に基づくものであり,その対応関係の数理解析により「簡易法による疎水度推定のための理論式」(式(7))を誘導した.次いで疎水度既知の単糖類7種類のリテンションタイム・データから理論式の係数を決定し,「簡易法による疎水度推定式」(式(9))を設定した. 3)この疎水度推定式を用いて,LGL,L-ArabinoseおよびL-Rhamnoseの疎水度(cal・mol-1)を求め,それぞれ3730,1240および2610と推定した.特にLGLはD-Deoxyribose(疎水度:2750,従来知られている単糖類の疎水度中最大のもの)の疎水度の約1.36倍の高さと推測された. 4)これらの疎水度推定値を用いて「単糖類(LGLなど9種類)を配合した白玉粉ゲル」の23。C,0,24および48時間保存によるゲルの硬化度合の試験データを解析した結果,ゲルの硬さとその経時的硬化現象は配合した単糖類の疎水度依存的に抑制される傾向にあることが判明した.また48時間保存の場合につき,単糖類の疎水度指数(Y)とゲルの硬さ指数(Z)との対応関係を示す回帰式(式(10))を求めた.