Thermus aquaticus由来耐熱性ホスホリラーゼの部分アミノ酸配列を利用して,本酵素遺伝子を単離し,塩基配列を決定した.本遺伝子のORF部分(2460塩基対)をtacプロモーター制御下に組み込んだ発現ベクターを保持する大腸菌は,耐熱性ホスホリラーゼ活性を示し,このことから本遺伝子が,ホスホリラーゼをコードしていることを証明した.大腸菌で発現させた本酵素をSDS-PAGEで単一バンドを示すまで綴し,諸性質を調べた.本酵素のグルカン合成反応における最小のプライマーはマルトトリオース,分解反応における最小の基質はマルトテトラオースであった.これらは通常のホスホリラーゼに比べ,それぞれグルコース1単位ずつ短く,新たな基質特異性を有する酵素であった.本酵素はその構造においても,通常のホスホリラーゼと異なり,新たなホスホリラーゼグループに属する酵素であると考えられた.