新食品素材としてのキノア粉代替のドウおよび製パン特性についてレオメーター,ファリノグラフ,示差走査熱量計等により検討した.硬質小麦粉に7.5-10%のキノアを代替すると,パンの比容積は無添加のコントロールよりも有意に増大したが,15%以上の添加では明らかに減少した.しかしリパーゼ75ppm(対粉当り)と15%キノアの代替により,その比容積は明らかに無添加のものより増大した.パンのクラムはキノアの代替量の増加に伴い硬くなったが,リパーゼとの併用により保存中の老化は抑制された.示差走査熱量測定によりキノアの代替による澱粉の糊化温度および糊化エンタルピー変化は無添加のものよりも明らかに大きくなった.ドウの粘弾性についてはキノアとリパーゼの併用により圧縮応力,弾性率を減少させドウを軟らかくするとともに吸水率および安定性を低下させる傾向がみられた.以上,キノア粉の代替とリパーゼの併用により製パン性を改良することが明らかとなった.