リンゴ果実の軟化機構を明らかにするための基礎研究の-β-つとして,ヘミセルロース多糖の-β-つであるキシログルカンの詳細な構造について品種間比較を行った.弘前大学農学生命科学部附属藤崎農場産のスターキングデリシャス,ふじ,王林,国光の4品種を成熟期に採取した.各品種の可食部細胞壁多糖類を常法に従い分画した.24%KOH抽出画分中のキシログルカンに微生物由来の精製キシログルカナーゼを作用させオリゴキシログルカンを得た.得られたオリゴキシログルカンはパルスドアンペロメトリー検出器を用いたHPLCにより,また, MALDI-TOF-MSにより分析した.キシログルカンを構成している主要オリゴ糖単位として,七糖(XXXG),九糖(XXFG)および十糖(XLFG)が確認された[XXXG等はFryらによるキシログルカンオリゴ糖の表示法で,主鎖の各(1→4)-β 結合のグルコース残基の分岐様式により-β-文字コードで示される.G=β-β-D-Glc, Xニα-β-D-Xyl-β-(1→6)-β-β-β-D-Glc, Lニβ-β-D-Gal-β-(1→2)-β-α-β-D-Xyl-β-(1→6)-β-β-β-D-F=α-β-L-Fuc-β-(→2)-β-β-β-D-Gal-β-(1→2)-β-a-D-Xyl-β-(1→6)-β-D-Glc].さらに,八糖としてXXLGおよびXLXG,九糖としてXLLGの存在が確認された.これら6種のオリゴ糖単位は量比の違いはあるものの,リンゴ4品種すべてにみられた.