加水比の異なる米飯を冷蔵保存した試料を用いて,米飯の初期老化を評価する方法について比較検討し,次のような結果を得た.1)色彩色差計で測定したL*値で初期の老化程度を判断することは可能であったが,精確さに問題があった.2)DSC測定はX線回折に比べ,保存時間のより短い試料の老化を捉えていた.3)BAP法による糊化度では保存12時間以降に,DSC測定では9時間後に,水分量の異なる試料間の老化程度の差が現れた.4)DSC曲線から算出されたエンタルピー変化量には,米飯試料における8%の水分差の影響が現れなかった.一方,米飯試料中の4%の水分減少は吸熱ピークを有意に高温側に移動させた.以上より,冷蔵のより早期に試料の差を検出でき,直接測定が可能である簡便さから考えて,米飯の初期老化の評価にはDSC測定が適していると考察された.