好アルカリ性Bacillus sp.KSM-1378株由来の液化型アルカリα-アミラーゼ(AmyK)のドメインBのループに存在するArg181-Gly182とThr183-Gly184をタンパク質工学的に除去し,得られた変異酵素の耐熱性とキレート剤耐性を調べた.Bacillus stearothermophilus由来のα-アミラーゼ(BSA)の立体構造では,Ilel81-Glyl82(AmyKのThrl83-Gly184に相当)の存在がCa2+とAsp207の配位を妨げているので,Arg179-Gly180よりIle181-Glyl82を除去した方がα-アミラーゼの耐熱性が増大すると予想されている.然しながら,AmyKのArgl81-Gly182とThr183-Gly184を除去した変異体のEDTA耐性は同程度に向上していた.更に,Thr183-Glyl84欠損変異体に比べ,Arg181-Gly182欠損変異体の耐熱性の方が明らかに高いことが判明した.従って,AmyKの耐熱性に係わる微細構造はBSAと異なっていることが示唆された.