ラクトビオン酸はラクトースから合成されるアルドビオン酸で,ビフィズス菌選択増殖活性を持ち,ミネラルと水溶性の高い塩を作るなど,さまざまな用途が期待される糖質素材である.われわれは,微生物あるいは酵素を用いたラクトビオン酸生産法を確立するため,ラクトースの酸化活性を持つ微生物を検索した.その結果,Burkholderia cepaciaの一菌株を得た.ラクトースの酸化活性は,菌体内に存在し,菌体を破砕後,酸素の存在下および非存在下でラクトースに作用させたところ,酸素の存在下でのみラクトビオン酸の生成が認められた.無細胞抽出液を調製し,さまざまな糖質に対する酸化活性を検討した.本粗酵素標品はD-グルコース,D-マンノース,D-ガラクトース,D-キシロース,L-アラビノース,D-リボース,ラクトース,セロビオース,マルトース,マルトトリオース,マルトテトラオース,マルトペンタオースに作用した.本菌株は培養上清中に2%のラクトビオン酸をラクトースの損失なく蓄積した.したがって,本菌株は発酵あるいは菌体反応によるラクトビオン酸生産に適用可能であると考えられる.