直接還元糖値12-16を有する数種の澱粉分解物の調製を行い,それらの構造分析,食物繊維の定量法であるプロスキー法に準じたin vitroによる消化性試験,およびヒトによるGlycaemic Indexの測定を指標にした消化試験を実施し,それぞれの相関性について検討した.この結果,酸分解の試料についは分解時の初期水分が減少するに従い消化性が減少した.これは,用いた試料の構造分析の結果,グリコシド結合の変換によることが示唆された.また,このグルコシド結合の変換は加水分解と逆反応である縮合反応(転移反応)によるものと推定された.その他,酵素分解のマルトデキストリンと酸分解のそれとの間には明らかな消化性の違いが存在し,難消化性画分の分子量にも差が認められた.次に,in vitro試験による消化性とヒトでの消化吸収性を比較した.消化性試験における難消化性の画分は,ヒトにおいても難消化吸収性の画分であることが確認された.また,二つの試験によって得られた測定値は非常に近似していた.このことより,今回,用いたin vitro試験法はヒトの消化吸収性を測定するための簡便法になることが示唆された.