三品種の小豆(大納言,エリモ,白小豆)より澱粉を調製しその性質を調べた.ビデオミクロメータで測定した平均粒径は,長径:大納言,39.3μm;エリモ,38.0μm;白小豆,37.5μm;短径:大納言,32.4μm;エリモ,31.8μm;白小豆,29.5μmであまり差はないものの白小豆が一番小さかった.小豆澱粉のDSC,フォトペーストグラフィーならびにアミログラフィーによる糊化開始温度はいずれもエリモが他の二品種よりもやや高い傾向を示した.8%濃度でのアミログラムではプレークダウンがみられたが,白小豆のブレークダウンは他の二品種よりも低かった.電流滴定によるみかけのアミロース含量は,大納言29.0%,エリモ27.4%,白小豆28.7%,酵素クロマト法によるアミロース含量は大納言30.4%,エリモ28.8%,白小豆31.2%で,エリモは他の二品種よりもやや低かった.X線回折図は三品種共Cb図形を示した.小豆澱粉粒の酵素による分解性は,大納言および白小豆はトウモロコシ澱粉粒と同程度の高い分解性を示したが,エリモはそれらよりやや低かった.さらに,分解残渣のSEM観察より,粒の内部に層状構造が観察できた.