日本人女性の乳中に含まれる6種のシアリルオリゴ糖濃度の泌乳期に伴う変動を,PMP誘導体化を用いた逆相HPLCにより定量した.DSLNT,6ノーSLおよびLSTb濃度は出産後10日目までの変化は少なく,それ以降減少したが,LSTc,LSTaおよび3'-SL濃度は出産後4日目から100日目まで減少し続けた.本研究と以前に報告されたイタリア人女性の乳でのデータでは,泌乳期の経過に伴う各オリゴ糖の濃度およびその変動パターンに大きな差が見られた.これらの差はドナーの人種差によるばかりではなく,両者の定量方法の違いによっても生じたものと考えられる.また,本研究と以前に報告された日本人女性の乳中における3'一SLおよび6'一SLの定量データとは,泌乳期による変動パターンが類似していた.