α-ガラクトビオース(α-Gal2)の付加剤としてα-Gal2の機能を解明するために有力な手段となる,アリルα-ガラクトビオシド(Gal2A)の効率的な酵素合成法を検討した.Candida guilliermondii H-404株のα-ガラクトシダーゼ(H-404酵素)とAspergillus niger APC-9319株のα-ガラクトシダーゼ(APC-9319酵素)が,アリルアルコールへの転移反応生成物(P2)の合成に適することを見出した.そこで,H-404酵素とAPC-9319酵素を用いて,P2の合成条件を検討した.その結果,H-404酵素の場合,アリルアルコール濃度を上げるにつれ収量は増大し,35%濃度のときメリビオース(g)当り約30%の収率でP2を合成することができた.一方,APG9319酵素の場合,アリルアルコールに対する耐性が低かったが,17.5%濃度のときH-404酵素とほぼ同じ約30%の収量を達成した.P2の構造は,酵素分解および13C-NMR分析により,Allylα-Dgalactopyranoside(GalA)であることを確認した.調製したGalAにAPC-9319酵素を作用させ,Gal2Aの合成を検討した結果,GalA(g)当り20%の収量でGal2Aを合成することに成功した.得られた転移反応生成物(a,b,c)は,酵素分解および13C-NMR分析の結果,aはAllyl6-O-α-D-galactopyranosyl 6-O-α-D-galactopyranosyl-α-D-galactopyranoside,bはAllyl6-O-α-D-galactopyranosyl-α-D-galactopyranosideであることが確認でき,cはAllyl3-O-α-Dgalactopyranosyl-α-D-galactopyranosideと推定された.