植物のADP-glucose pyrophosphorylase (AGPase)は,二つの大サブユニットおよび二つの小サブユニットから構成されるヘテロ4量体である.インゲンマメ登熟種子cDNAライブラリーより,両サブユニットをコードするcDNAクローン(pvagPL1およびpvagPS1)を単離した.推定アミノ酸配列は,他のマメ科植物由来AGPase大サブユニットあるいは小サブユニットと高い同一性を示した(Fig.1).ノーザン解析により,インゲンマメ植物の各器官におけるmRNAレベルを調べたところ,両mRNAは登熟種子のみならず,葉,茎ならびに根においても検出された(Figs.2,3).種子登熟過程における両mRNAの蓄積は同調的であり,登熟初期から中期において顕著な蓄積が認められたが,いずれも完熟種子には検出されなかった(Fig.2).葉におけるpvagPL1mRNAレベルは光の有無によらずほぼ一定であったが,pvagpS1 mRNAレベルは夜間激減した(Fig.3).これらの結果から,pvagpLlおよびpvagpSl遺伝子の発現は器官特異的に異なる制御を受けることが示唆された.