培養槽のスケールァップ手法として, 工業生産に使用されている480基の培養槽の基本仕様を統計的に分析し標準的仕様, および各仕様値と培養槽の容量との相関を求めたものを紹介する.次にコンピュータによる流れの数値解析手法を培養槽の性能評価へ応用したものを紹介する. k-ε モデル, 動的マルチブロック法, ドリフトフラックスモデルを用いた解析を行い, 次の各項目について数値解析と-実績または実験式で同様の傾向が得られた.同一通気量においてアスペクト比を増加すると, ガスホールドアップが増加する; 単位液量当りの投入動力を減少させた場合, ガスホールドアップは減少し, タンク下部まで気泡が行き渡らない; 翼の間隔が狭すぎると流れの干渉により流速が低下し, 撹拌翼1枚あたりの撹拌動力も減少する; 同一投入動力で撹拌翼径を大きくした場合, 局所剪断応力が低下し, 撹拌翼吐出流量および平均剪断応力が増加する.最後にこれらの実績値および流れ解析を用いて培養槽の設計, スケールアップを行う場合の設計指針を示した.