最近, 電磁調理器が普及しつつあるが, 従来のガス加熱よりも味が乗らないなどの現象が認められる.このことに対し, 我々は調理の際, 水の水質変化が調理に影響しているのではないかと推理し, 電磁加熱とガス加熱の際水質変化がどのようになっているかを検討した.提供された鍋に水道水を入れ, それぞれ電磁調理器, ガス加熱調理器で加熱して水質変動を追跡した.加熱小の場合, 双方の水質に変化は認められなかったが, 加熱大の場合, 電磁加熱では硬度の変化, pHの上昇などの水質変動が認められた.ガス加熱の場合では, 変動は著しいものではなかった.純水を用いた実験では水質変化は起こらなかった.水質変化は鍋表面からのCa, Mgなどの溶出により起こるものと推定された.鍋自体からの溶出でなく, 水道水成分が鍋表面に付着し, それが剥離し, 水質変化を引き起こすと示唆された.