高電圧パルス殺菌のためのスパイラル形状電極処理槽の殺菌特性を実験的に検討した.この殺菌槽はパルス発生電源とアースに接続した2本のスパイラルワイヤーからなっている.殺菌対象として大腸菌K-12株を用い, ピーク電圧, パルス発生電源のコンデンサー容量, 懸濁液の導電率, 殺菌槽体積, および電極材質の影響を調べた.大腸菌の生存率はピーク電圧やコンデンサー容量を大きくすると低下したが, 生菌率の低下は印加電圧とコンデンサー容量から計算した電気的入力エネルギーに依存していた.印加電圧やコンデンサー容量に関係なく300J/mLの電気的エネルギーを入力した場合, 10-5の生菌率が得られた.懸濁液の導電率は生菌率に非常に大きな影響を与え, 導電率が4mS/cm以下の時に効果的なパルス殺菌が可能であった.殺菌槽の体積や電極の接続方法は生菌率に影響を与えることはなかった.