生のバレイショおよび加熱したバレイショ中の水の拡散係数をPFG-NMR法で測定すると, 単純なバレイショデンプン・水の系が示す結果と異なる結果が得られた.すなわち, デンプン・水の系では, 加熱することによって, 加熱しない場合に比べて水の拡散係数値が減少するのに対して, バレイショでは, 逆に加熱すると水の拡散係数の値が増加することが明らかになった.偏光顕微鏡とSEM (走査型電子顕微鏡) の結果から, バレイショ中の水は, 加熱されたことによって, 細胞壁や細胞間隙に存在する水が, デンプン顆粒が存在する細胞質内に移動したと推察された.デンプンの多い小豆についてはバレイショと同様の挙動を示したが, デンプンの少ない枝豆では異なる結果が得られた.