我々はこれまで加圧熱水をキーテクノロジーとする木質系バイオマスの変換法について種々検討を行ってきた.本報告では, 加圧熱水流通式反応装置を用いてスダジイを処理し, キシロース, キシロオリゴ糖収率に及ぼす加圧熱水圧力および温度の影響について検討を行った.その結果, 今回検討した範囲内では処理圧力は収率および可溶化時間に対してほとんど影響しないことが明らかになった.温度については, 220℃においてキシロース, キシロビオース, キシロトリオースの収率が最大となったが, さらに処理温度が高くなるとそれらの収率は減少し, かつWI中にセルロースの加水分解物も含まれるようになった.200℃において得られたWSのIRスペクトルを調べたところ, リグニン由来の吸収が観察され, 流通式反応装置による処理は回分式の場合よりもより多くのリグニンがWI中に含まれることが明らかになった.