フマル酸マイクロカプセルを用いて工業的に製造された中性コンニャクの組織学的および調理学的特性を検討した. 従来コンニャクの組織が厚い隔壁で形成された大きな網目構造の中に薄い隔壁の網状構造が多数形成された複雑な組織となっているのに対して, 中性コンニャクの組織は, 厚い隔壁で形成された大きな網目構造が主体となっており, 薄い隔壁の網目構造はほとんどなく, 比較的単純な組織となっていた. このような組織の相違が, 調理時のpH変化, 肉の硬化および味染みに影響を与えているものと考えられる.すなわち, 中性コンニャクを煮込んだ場合, その調理水のpHは中性に保つことができ, 従来コンニャクに比べ, 食肉の硬化の程度が少なく, また, 調味液の味染みが速いことが示された. これらの結果は, 中性コンニャクが調理面で, 従来コンニャクにはない有効性と可能性とを有していることを示している.